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2009.04.28 (Tue)

美希FC会員さんからの寄贈SS『ある春の日に』

先日、美希FC『花菱美希を応援する会』にご入会いただいた、じゃっくさんから美希SSを寄贈していただきました! じゃっくさん、ありがとうございます!
コミックス19巻の表紙をヒントにご執筆なされたとのことです。
それでは、追記よりじゃっくさんのSSをご堪能ください♪

【More・・・】

「ある春の日に」   (じゃっく さん筆)


━━これは何の冗談なんだろう?
無敵の生徒会長、桂ヒナギクは珍しく困惑していた。

目の前で、友人の美希が。キスを待つように目を閉じていたから。

━━落ち着くのよヒナギク。こういう時こそ、冷静になるのよ!
自分に言い聞かせながら、明晰な頭脳を全力全開で回転させて。
こうなった経緯を思い出していた。

---

新入生を迎えた学園は桜がそこかしこに咲き誇り、春の香りを漂わせていた。
そんなある放課後の生徒会室で。

「せっかくだから、お花見しよ~よ」
提案したのは泉。いつも笑顔の絶えない子だ。
「そうだな、こんなに天気がいいんだ。花見をしなければ罰があたるというものだな」
それを受ける理沙。神社の娘がそんな気軽に罰とか言っていいのだろうか?
美希もうんうんと頷いている。決して書類雑務が面倒になったのではないと思いたい。

「ダメよ。まだ新歓企画の最終調整終わってないでしょ?」
「あら、それなら気にするほどでもないわ。ね、千桜さん?」
否定するヒナと、何やら千桜に目配せをする愛歌。
彼女の手にはジャプニカ弱点帳がしっかりと握られている。
…千桜は意図を即座に理解した。

「ええ、この程度なら私一人ですぐにまとめられます。皆さんで花見に行かれてはどうでしょう?」
「あなた一人に押し付けられないわよ」
「私は皆で騒ぐのは苦手なので、お気になさらず」
千桜はいたって平静にヒナと受け答えをしているが。
背中はおびただしい脂汗が滴っていた。
にこにこと笑っている愛歌から、底知れぬ恐怖を感じるのだ。

「昨年は病床で桜を眺めるだけだったから、今年は皆でお花見もいいわよね…」
何気なく、ぼそっと呟いた愛歌の言葉。
━━そっか。愛歌さん…
ヒナはその心中を察し、
「じゃ、お言葉に甘えて、お花見しましょうか」
途端、やったーと騒ぐ泉、美希、理沙。

…思えば、これが発端だったのだろうか?

---

せっかくだから何か買おうと言い出し、なら酒よ酒!といつものように雪路がどこからか湧いて。
泉と理沙で買出しに出かけたら学園の入り口でハヤテ、ナギ、マリアとばったり出くわして。
…結局いつものメンバーで花見と相成ったのであった。

━━確かに最近、ゆっくり桜を見たりする事もなかったな。
ヒナはきゃいきゃい騒ぐ泉らを横目に、ゆっくりと時間を過ごしていた。
先日、観覧車の中で歩と話した事をぼんやりと思い出す。
知らず、意識している男の子を目で追っていた。
綾崎ハヤテ。
自分と似た境遇の少年。
だから、惹かれたのだろうか?

今も彼は、主たるナギにかいがいしく世話を焼いている。
ナギが自分だったら、などと考えてみたり。
でも、ずっと彼が傍にいたりしたら、きっと心臓がどうにかなってしまうんだろうな。

いつの間にか、マリアがウサギの耳の形をしたカチューシャらしいものをつけ、
理沙がカメラで追っていた。
愛歌がどこからか取り出したそのカチューシャを持って迫る理沙や泉から
「絶対似合いますって!」
と言われて折れたのだろうか。
いいのかしらという表情ながらも耳の位置を微調整する辺り、まんざらでもないのかな。
…私は絶対ヤだけど。

などとヒナが眺めていたら。
「ヒ~ナ~」
美希が赤い顔でふらふらと、歩いてきたではないか。
「どうしたの美希…お酒?」
「甘酒だよ~」

背後にゴゴゴゴという音を立てて、諸悪の根源を探すヒナ。
甘酒は甘すぎていけないわね~などと、昼間から酔いどれの姉を見て。
━━どこから入手したのよ。ついこの間もお金の無心に来ていたじゃない。
…もはや、怒ってよいやら泣きたいやら。

「ヒナ~、こっち向いてよ~」
完全に酔った声で千鳥足の美希。
と、脚がもつれて倒れ掛かる。
「美希、危ない!」
素晴らしい反応速度で支えるヒナ。

途端、美希がえへへーと、子供みたいな笑顔になる。
泉みたいな、こんな無防備の笑顔を見たのはどれくらい久しぶりだろうか。
「やっぱ、ヒナはヒーローだね」
「もぅ、何言ってるのよ」
足取りのおぼつかない美希を座らせようとしたが。
「ヒーローには、お礼しないとね」

美希は目を閉じて、唇を突き出す。
いわゆる、キスを待つ顔だ。
いくらその手の事に疎いヒナにもわかる。

だからこそ、思った。
━━何故ここでそんな展開になるのよ?!

---

ヒナは以上の回想を瞬時に終え、改めて目の前の美希を見た。
顔が赤いのはお酒のせいだろう。
キスなど酔ってるからといって悪い冗談に過ぎる。
━━だって。
すぐ傍に、気になる男の子がいるのに!
いや、いなくてもしないけど!
どうしたものかと思案していると、いつの間にか目を開けた美希が言った。
「ヒナは私のこと、キライか?」

…いや、その発想はおかしい。
好きとか嫌いとかと、キスとは何の因果関係があるのか。
いや好きな異性ならばキスとかしてみたいけど。
戯れでキスなんてできるわけがない。

だけど、美希は潤んだ目でじっと上目遣いしてくる。
「私はヒナがスキだぞ」
━━この感覚…どこかで…
ヒナは下田で歩にときめいてしまった事を思い出す。アレに近い。
つまり…この状況…非常に、マズい。

助けを求めるべく周囲を見ても、ハヤテはナギと何やら話し込み。
泉や理沙はマリアを追っかけまわして。姉の雪路は出来上がっていて論外。

頼みの綱の愛歌さんと目が合うが、
木陰で穏やかに手を振っているだけだ。
「お気になさらず、生暖かい目で見守っているわ」と聞こえてきそうな佇まい。
手にあるノートに何を書いているのか、怖くて聞けない。

そうこうしている間に、美希が更に近づいていて。
「ヒナ、私の目を見て」
普段からかわれている美希とはまるで違う、真剣な瞳。
これは本当に酔った戯れなのだろうか?ってくらいに。
瞳の奥に顔を赤くした自分の姿が映っている。

どうしよう。
一声かければ、腕で止めれば、ただそれだけなのに、
美希の瞳に魅入られて。体を動かせない。
爪先立ちになって近づいてくる唇に、何故か目を閉じてしまう。


ダメよ、こんなの、私の初キスなのに…
ハヤテくん…!


ぽすっ。
ヒナのなだらかな胸に、抱きかかるように寄りかかってきた美希。
目を開ける。幸せそうな美希の寝顔。
すー、すーと寝息が聞こえる。

美希の額が触れている左胸が、今更の様に早鐘を打っている。
「ヒナー、ドキドキしてるぞー」
寝言、らしい。
ヒナは複雑な感情を込めて大きく溜息をつくと、美希を支えて草むらに寝かせたのだった。

---

鮮やかな橙の光を浴びて、美希の意識がふわりと戻りつつあった。
頭が少しだるい。それに、後頭部に何やらいつもとは違う枕の感触が…
「美希、そろそろ帰るわよ」
顔のすぐ傍から聞こえるのは、いつ聞いても素敵だと思える、スキな人の声。
夢かと思い目を開けると、目の前にはスキな人の顔。
夕陽を浴びていつもより綺麗に見える…って?!

美希は慌てて起き上がる。
状況確認。
何故か寝てしまった自分を、ヒナが膝枕してくれていたらしい。
確認完了。

…どうしようもなく、顔が赤く火照ってしまう。
何故こんな事に。

「ふっふっふ…バッチリ、撮らせてもらったぞ」
ニヤリと笑うのは悪友の理沙。
動画研究会所有のカメラをしっかりと手に持って。
「美希ちゃんの寝顔、可愛かったよねー」
一緒になって笑う泉。

━━これはマズい。
まだ朦朧とした頭を振って、理沙に飛び掛る。
「そいつを寄越せっ!」
「そうはいくか」
貴重な映像だぞ、と言って逃げる理沙。

━━ヒナの膝枕で眠る自分。
考えるだけでどうかなってしまいそうなのに、
ましてやそれを映像で保存するなど。絶対に阻止せねば!

体格差で引き離されるも、諦めずに追いかける美希。

ヒナギクはその光景を見て。
━━やっぱ、さっきのってお酒のせいよね…
と一人大きく溜息をついて、叫んだ。

「暗くなる前に、帰るわよー!」

おわり
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