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2009.01.30 (Fri)

SS ~『January ~潮風吹き去ったあと~』~

一か月近くの間、SS捕捉を含め更新していませんでしたが、とりあえず復活です。
忙しかったりPCの調子が悪かったりしたもので。今はPCの調子も良いです。
それでは、今回は『1ダースの詰め合わせ~12のツキと12のヒト』という短編集用に書いた短編SSを前回に引き続きお送りします。
この短編集は1月に1度更新する予定です。
……最も、ブログで更新してくとあまり短編集という感じがしませんが。
そんなわけで、続きよりSS本編をどうぞ。

【More・・・】

短編集:1ダースの詰め合わせ~12のツキと12のヒト

January -1月- ~潮風吹き去ったあと~



「連絡事項は以上、号令」
「きりーつ、れー」
この気の抜けた号令を聞くと、やっと終わりだと肩の力が抜ける。
さてと、確か今日は新しいシングルが出るはずだよな。そういえば本屋も寄らないと。特に用事もないし、今日は一人でゆっくり寄り道して帰るかな。
カバンOK、マフラーOK。よし、行くか。
教室を出る前に一度見渡してみると、いつものメンバーがバカ騒ぎしてた。いつもはオレもあの中にいるけど、たまには一人で道草食うのも悪くはない。
「じゃ、オレ今日寄り道してくから、先帰るわ。また明日な!」
おう、と何人かが手を振ってくれる中、オレは教室を出て――
「待つよろし!」
「んがっ!」
――いこうとして、突然後ろに引っ張られた。なんつう不意打ちだ。
「……西沢! いきなりマフラー引っ張んじゃねー!」
「だって宗谷君、さっさと帰ろうとしちゃうんだもん」
だってもクソもあるもんか。窒息でもしたらどうすんだっての。
普通に呼びとめれば済むことじゃんか。
「……で? 一体何の用だよ」
とはいえ、ここで文句を言っても無駄なので話を聞いてやる。
なんつうか、こいつとはいつもこんな感じだし。
案の定、西沢は「よくぞ聞いてくれました」みたいな顔してやがる。
「今からみんなでカラオケに行くわよ!」
「カラオケって……またかよ!? つい一昨日も行ったばっかじゃねーか」
「別にいいでしょ。減るもんじゃないし」
「金が減るだろ!」
「そういうことは気にしない!」
一体コイツはどうしたんだ。
実際、ここ最近の西沢はやたら活発というか……むしろ、少しおかしいくらいだ。
ちょっと前はやたらヤケ食いしてたし、と思ったら最近はかなりの頻度でカラオケやボーリングの練習。
それに、前はこんなしつこく誘って来なかったはずだ。
本当、どうしたんだコイツは。
「さぁさぁ、しぶってないでさっさと行こうよ」
「だからオレも寄りたいとこが……おい、聖たちも何か言ってくれよ!」
助けを求めてみんなを見ると、一斉に肩をすくめやがった。
「宗谷君、こうなったらあきらめるしかないよ」
「まぁ、何だかんだ楽しいし、いいんじゃない?」
全員、あきらめ半分、楽しみ半分。
ここにはオレの味方は誰もいなかった。
「……はぁ、仕方ねぇなぁ」
「さっすが宗谷君! そうこなくっちゃ!」
こうしてオレは、カラオケへと強制連行されることになった。



「がんばれぇ! がんばれぇ~! わたしのぉ、か~たおもいぃ~!」
始まってから早1時間。来る前は少し乗り気じゃなかったけど、いざ始まると結構楽しいもんだ。
集まった6人で全員同じ部屋だから、少し自分の番が回ってきづらいけど、みんなタンバリンやら手拍子やら騒いでいる。
そんな中西沢は、他のやつが入れた曲もほとんど一緒に歌っていた。全く、よく歌うもんだ。
「はぁ~、ちょっと休憩。さすがにほとんどぶっ続けで歌ってると疲れるねー」
自分の番を熱唱し終えた西沢は、マイクを次に渡してオレの横に座った。
美味そうにジュースを一気飲みするのを見ると、本当によく歌ってたなぁと思う。
「っと、点数出るんだった。さぁて、気になる点数は……じゃん! 『44点:残念無念また来週~』ってえぇっ!? さっきの51点より下がってるじゃない!」
……まぁ、よく歌うとは言っても相変わらず上手くはない歌だけど。
「さ、さっきからこの機械おかしいんじゃないかな!? ねぇ、宗谷君!」
「いや、そんなこと言ってもお前、よく音外すし、力入ってくるとたまに声裏返ったりするし」
「えぇ~、そんなぁ。結構練習したのに……」
西沢は軽くためいきをつくと、肩を落として机に突っ伏した。
次の曲が流れて、みんな手拍子し始めてもそのままだった。
よっぽど気にしてたのか、それともちょっとストレートに言い過ぎたか。
でも、それにしたって、このくらいのやりとりでこんな落ち込むとは思ってなかった。
……やっぱり、最近ちょっと違うよなぁ。
「なぁ、西沢」
「ん? なに?」
「最近、どうしたんだ? やたらカラオケとか色々練習してるしさ。何かあったのか?」
「う~ん……それはねぇ」
いったん言葉を区切った西沢は、ソファの背もたれに寄りかかって宙を見上げた。
でもその眼は、天井でも照明でもなく、もっと遠い何かを見ているみたいで。
「この前、ハヤテ君に会ったんだ」
「……あぁ」
ハヤテ。なるほど、そういうことか。
これで最近の西沢の行動にも納得がいった。
「そうか、気付かなくてごめんな西沢。そりゃああんなフラれ方したらストレス発散に食ったり歌ったりしたくもな痛っ!?」
「違ーう! あの後また会ったの!」
「……わ、悪かったから、殴るのはやめてくれ……」
さっきの落ち込みはどこにいったんだ。

その後、オレはみんなの歌もそっちのけで、西沢の話を聞いていた。
ハヤテが親に売られて路頭に迷っていたこと、その後大富豪に引き取られて執事をしていること、その雇い主が天才少女だったこと、などなど。
元々ハヤテん家が色々大変だってのは聞いてたし、不幸体質なのは十分見てきたけど……さすがにかなり衝撃的な話だった。
「……で、そのお嬢様に負けて悔しいからこうしてカラオケの練習をしてる、と」
「なっ、そんな一言であっさり片付けないでくれるかな?」
それでも、なんかすんなり納得しちゃうのは何でだろうな。
ハヤテだから、か?
「悔しいから、じゃなくて……負けられないのよ」
突然、呟くようにそう言った西沢は、さっきまでとどこか違う空気だった。
真っ直ぐオレを見る西沢の眼は、何だか透き通っていて、やけに力強くて――
「カラオケでも、何でも。とにかく、頑張るの。それで……」
「相応しい女になる、ってか。愛しの王子さまも罪な男だな」
「……って、ちょ、ちょっと! からかわないでよ! てか、何言っちゃってるのかな私は!?」
――目を合わせてられなくて、話を濁した。
「ちょっと飲み物持ってくる。西沢のも無いだろ。何がいい?」
「えっ? あ、えーと……オレンジジュースで」
「ほら、次西沢の番みたいだぞ。……まぁ、前よりかは結構上手くなってると思うし、頑張れよ」
「……うんっ!」

氷のすっかり溶けたグラスを二つ持って、部屋を出た。
ドア越しでも、みんなが盛り上がってるのがよく分かった。
「ハヤテ、か」
思えば、色々と不思議な奴だった。
放課後みんなで遊びに、となると付き合いは良くなかったけど、家計が大変でバイトしてるってのは聞いてたし、そんな事も気にならないくらい良い奴だった。
愛想いいし、気が利くし、西沢が好きになるのもよく分かる。
そのくせ、本当に鈍感で……見てるこっちがむず痒くって、みんなで西沢とハヤテを早くくっつけようとしたこともあった。
まぁ、鈍感すぎて上手くいかなかったけど。
それにしても、考えてみると本当罪な奴っていうか。
さっき話してた時、西沢の顔は何というか……そう、輝いていた。
思わず見てられなくなって、こうして飲み物を口実に逃げ出したくらいに。
恋する女はキレイになる、ってやつかな。不覚にも、一瞬そう思っちまった。
西沢をあそこまで頑張らせるハヤテは、凄いというか何と言うか。

……今度ハヤテに会ったら、遊びに誘ってみるかな。
勿論、西沢や他の奴らと一緒に。

fin.
23:01  |  ハヤテのごとく!小説(SS)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

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