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2008.12.31 (Wed)

SS ~『december ~ある寒い日の贈り物~』~

ご挨拶を兼ねて。
みなさんこんばんは。SS捕捉が滞っておりますが生きています。
ここ最近忙しく、更新はまた隔週などになることが多いかと思います。
とりあえず今年最後に、短編集用に書いた短編SSを一話載せたいと思います。
プロローグ込みで、続きからどうぞ。

と、その前に、SSはお読みにならない方もいらっしゃるでしょうし先に申し上げておきましょう。
皆さん、今年は当ブログをご覧いただきありがとうございました。
また来年も宜しくお願い致します。

【More・・・】

短編集:1ダースの詰め合わせ~12のツキと12のヒト

構想:2007年
執筆開始:2008/12/31

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prologue:one day ~ひとりの男の子~


あるところに、ひとりの男の子がいました。
その男の子は、優しい子でした。
頑張ればいつか報われるはずと、人よりつらい環境で、健気に頑張っている子でした。

その男の子は、不幸な子でした。
頑張る彼に、神様はとてもいじわるでした。
今もその男の子は、優しい子です。
人一倍気を遣って、ときにはそれが却って仇になることもあるくらい、優しい子です。

その男の子も今は、不幸ではありません。
まだ厳しい壁にも突き当たるけれど、彼は良い人たちに巡り逢いました。

その男の子は、不思議な力を持っているようです。
知らず知らずのうちに、みんなに影響を与えているようです。

みんなと出会っていろんなものをもらって、そしてその人たちにたくさんのものをあげて。
そうして男の子は、みんなと一緒に、ひとつ、またひとつと、幸せになっていきます。

優しくて、気が利いて、鈍感で。
器用で、不器用で、不思議で。
そして、あたたかい男の子です。




------------------------

december -12月- ある寒い日の贈り物


「マリアさん、こちらの廊下は終わりましたよ」
「御苦労さまです、ハヤテ君。それじゃあ次は……そちらの大広間をお願いできますか?私もこちらが終わったらすぐ行きますので」
「はい、分かりました! 任せて下さい!」
ハヤテ君が来てから早数日。私たちは二人きりで大掃除に励んでいました。
いくら三千院家の中で一番小さなお屋敷とはいえ、大掃除となると普段手を着けないようなところまで綺麗にするもの。そうなるとさすがに大変です。
しかしハヤテ君は、まだこのお屋敷全部は把握しきれていないでしょうに、疲れ一つ見せることなくあらゆる場所を掃除していきます。
今年はSPの皆さんも本宅へ駆り出されていて一段と大変なはずでしたが、「拾っていただいた御恩」とばかりにハヤテ君が張り切ってくれているおかげで、随分とはかどっています。
「本当、すごい子ですね……」
少し厳しくも心地よい風に誘われて、ふと窓辺に寄ってみれば、さっき掃除されたばかりのサッシが光に輝いています。
ハヤテ君お手製の、ガーゼを巻いた棒で丁寧に磨き上げられたからでしょうか。溝にも砂埃一つなく、新品と見紛うかのような素晴らしい仕上がりです。
「……本当に、すごいですよね……」
この家事の技術はどこで身に付けたんでしょうか。本当に不思議です。

思えばこの数日、本当にいろいろなことがありました。
イヴの日に外で倒れていたところを轢いてしまい、かと思えば何ともないかのように立ち上がったハヤテ君。
自転車で車に追い付き、ナギを血まみれになりながらも助け、うちで雇うことになってから間もなく追い出され……
借金がハヤテ君自身のものになったかと思えば、試練と言ってロボットと戦い……
タマと戦い、またロボットと闘ってお屋敷を壊して……
本当、たった数日間の間に、物凄くいろんなことがあって。
けれど、何故でしょうか。こんなどたばたとした生活が、何だか少し嬉しくて、楽しくて。
静かだった――時が半分止まったかのようなお屋敷の中に、新しい風が吹き込んできたようで。
何かに巻き込まれて、台風みたいにあたりを壊して散らかしても、怒りつつも何故か新鮮な気持ちに嬉しくなってしまって。
本当に、不思議で爽やかな風です。
そう、だって――

「おーいハヤテー! 何をやっているのだ、遊ぼう!」

――あのナギが、あんなに笑顔になっているのですから。

「駄目ですよお嬢さま、今は大掃除の最中なんですから」
「えー……いいじゃないか、掃除くらい」
「ただの掃除じゃなくって、大掃除ですよ? 今年一年中の汚れを全部落として、新しい年を気持ちよく迎えるんです」
「というかハヤテ、今年一年って言ったって来たばかりじゃないか」
「ははは……まぁ、そう言わずに」

あらあら、まったくあの子ったら。ああいうところは相変わらずですね。
……でも、今ハヤテ君と話してるあの子の笑顔は、本当に眩しくて――まるで、ひまわりのよう。
あの子のあんな顔、しばらく見ていませんでしたもの。
姫神君が居なくなってからは、身体も気持ちもすっかり塞ぎ込んでしまって……
それが、今では嘘のよう。
小さい体に重圧や悲しみを受けて、それでも無理して沈みそうだったあの子。
たった数日間で、それを吹き飛ばしてしまったハヤテ君は、一体何者なのでしょう。
あんなに細い体に、物凄い力と優しさを秘めていて。
ナギのために、私たちのために、あんなに一生懸命になってくれる。
ナギがあんなに心から笑えて。
そして私も、こんなに温かい気持ちになれる。

ハヤテ君は、この出会いは、きっと――

「ほら、お嬢さまも一緒に、大掃除してみましょうよ」
「え、いや、私は……」
「僕が一緒に手伝いますから。きっと楽しいですよ。ね?」
「……ま、まぁ、ハヤテがそこまで言うなら……仕方ないな、やってみるか!」

――あの子への、私たちへの、神様からのクリスマスプレゼント……なのかもしれませんね。

さて、こちらのお掃除も終わりましたし、私もあの温かい輪の中に行こうかしら。

「ナギー、ハヤテ君ー! 私もそちらを手伝いますね!」
「おぉ、マリア! 早く早く!」
「あぁ、お嬢さま! そんなにハタキを振り回したら――」

今日も、明日も、これから先もずっと。
あの気難しいひまわりさんの周りを、温かく吹く風でいてくださいね、ハヤテ君。

fin.
23:48  |  ハヤテのごとく!小説(SS)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

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