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2008.05.12 (Mon)

SS ~『麗らかな陽とうらはらに』~

改稿に少し手間取っている為、修正の必要が少なそうだった5作目を公開したいと思います。
過去作品公開の為、ちょっと時期を外しておりますが(汗
ちなみに、この作品は一文が短めです。また、一つ下の記事で公開したSSの3分の1ほどの文章量ですのでさらっとお読み頂けるかと。……う~ん、一つ下のSSと見比べて見ると随分違う気がします(笑)
(SS本文はRead More…より)


【More・・・】

『麗らかな陽とうらはらに』
執筆者 jihad
完成 2007/10/15頃(?)
完結5作目
初出:2008/4/1 [ひなたのゆめ]ハヤテのごとく! / サブ小説感想掲示板
原作準拠

------------------------------


「「ハヤテ君……私は、あなたが好きです!!」」
「え?」
暖かい風が吹く穏やかな日。まだ明るいのに、何故か人の気配がない公園で。
それはあまりに唐突で、しばらく理解できなかった。

ヒナギクさんと西沢さんが、じっと僕を見ている。

"好きです"だって?
この、僕が……?
この……ふたりに?

信じられなかった。
夢かと思った。
しかし、カラカラになった喉がとても痛い。おそらくこれは現実だろう。

僕は……どうすれば……

好きだと言われた事自体は、嬉しくない訳はなかった。夢みたいで、現実味はないけれど。

でも、どうすればいいんだろう?
僕の気持ちは、自分の気持ちなのに分からない。

そして、どんな返事をしたところで。
絶対に、誰かが傷ついてしまう。

どうするべきなのか?
僕の、本当の気持ちはどうなのか?
誰もが、傷つかない方法があるのか?

……何もかも、分からない。
分からずじまい。

ふたりとも、とても大切な人。でも、それはどういう意味なのか?
僕は、どう思っているのだろうか?

堂々巡り、結論は出ない。
……いや、違う。出しかねているだけ。

本当は、きちんと出ているはずなんだ。
そう、どうするべきかなんて、考える必要がない。
いや、考える資格すらないんだ。

好きだと言ってくれたのは嬉しいけれど、これを受けるわけにはいかないんだ。
そう、それがきっと。
いや、おそらく。
……願わくば、絶対だと思いたい。

これが、最善かつ最良の方法。

深呼吸して、覚悟を決めた。
口を開いて、そう、言うんだ。

「僕は――」








「はい、カット~!」

「……は?……」

僕の声が出る前に、どこかで聞いたような声がした。
カット?
あまりに場違いなその言葉に、頭が混乱してくる。

「いやはや、私の脚本もさることながら、ふたりも素晴らしかった」
「まあ、もう少し見てたかった気もするけど……」
「もう、ミキちゃんったら、これ以上やったらかわいそうだよ~」

木の陰から出てきた人たち。
メガホンを持った朝風さんと、一眼レフを持った花菱さん、ビデオカメラを持った瀬川さん。
カット、脚本、ビデオカメラ……

まさか……

「……芝居……だったんですか……?」

僕は、まんまと引っかかったわけだ。

「ハヤテ君、ごめんね?」
「ちょっと度が過ぎたかもしれないけど、許してくれないかしら?」

謝ってくる西沢さんとヒナギクさん。

よくよく考えれば、不自然な点は多々あった。いきなり呼び出されて、ふたりに告白されて。
よりによってこのふたりが、この僕にという時点で。そんな事はあり得ないとは思っていたけど。

まさか、こういう事だったとは……

嘘でよかった、と安心する。誰も傷つける事にならなくて。
でも、それでも……
これは少し酷くないだろうか?

「皆さん……一体僕が、どんな思いで……」

やっとの事で、それだけ搾り出す。

「うお、ハヤ太君、騙した事は済まなかったって!」
「うわぁ~、ちょっと落ち着いてぇ~!」

朝風さんと瀬川さんが僕をなだめようとしているけど。
いくら何でも、言っていい事と悪い事があるんじゃないだろうか?

「ハヤテ君、話を聞いて?」
「気持ちは分かるけど、お願いだから、ね?」

西沢さんとヒナギクさん。
まさか、このふたりがこういう事をしてくるとは夢にも思っていなかった。

「ふたりまで、何でこんな事に乗ったんですか?」


「……ハヤ太君、それは"今日"だからよ」
「……え?」

冷静ながらも、"今日"を少し強調した花菱さん。
今日……?

「…………あっ…………」

そう、今日。
一杯食わされたと思っていたが、違った。二杯食わされていたんだ。

「……エイプリル……フール……」

そう、普通なら皆注意するであろう日。自分も誰かを引っ掛けようと意図するから、他の人に言われても大抵引っかからない。

僕は、夢ではないかとまで疑っておいて。
全く気付かなかった僕は、まさに4月バカの名にふさわしいのかもしれない。

「あは……ははは……」

もう混乱も怒りも悲しみも、何もかも吹っ飛んで。
体中の力が抜けていった。

「ちょっとハヤテ君、大丈夫?」
「うわ、ハヤ太君、そんなに落ち込まないでよ~っ!
 ほら、私だって今日5回も騙されてるしっ!」

何か言っているようだけど、聞き取る気力もなくて。
ただ、笑うしかなかった。




「いやぁしかし、ここまで真に受けてくれるとは……」
「"またまたご冗談を"くらい言ってたら、バレた事にしようかって言ってたくらいなのにね」
「ハヤ太君、きっと正直すぎるのかもね~」

大分落ち着いた頃、苦笑する三人。

「ハヤテ君、本当にごめんなさい……」
「ごめんね、ハヤテ君……」

「いえ、もう大丈夫ですよ」

何度目か分からない謝罪を言うふたりには、却ってこっちが悪いような気もしてくる。

「でも、瀬川さんたちならまだしも、何でおふたりまで……?」

そう、普段のふたりなら……
西沢さんが誰かを騙したところなんて見たことがないし、ヒナギクさんなんかは、三人が提案したところでお説教くらいしそうだけど。
そんなふたりが、この悪ふざけに合わせた理由がさっぱり分からなかった。

「「……さぁ?」」

いたずらな笑みを浮かべる二人。

「"さぁ?"じゃないですよ、もう。ついていい嘘と、悪い嘘があるんですからね?」
「分かってるわよ、ハヤテ君」
「もうしないから、ね?」

両手を合わせて謝られた。
まぁ、もう気にしてないからいいんだけれど……

「せめて教えてくださいよ、どうしてこんな事したのか」

それを聞いて、二人はくすくすと笑い出した。

「ふぅ~む、全く気付いていないのか」
「まぁ、ハヤ太君らしいけどね」
「にくいね~、この幸せ者~っ♪」

何の事なんだろう?
正直、さっぱり分からない。

「もう、一体何の事なんですかっ?」

ヒナギクさんと西沢さんとは、互いに顔を見合わせて。
少し微笑んで、またこっちを向いた。

「「さぁ? 鈍いハヤテ君には教えてあ~げないっ!」」

「もう、気になって眠れないじゃないですか~っ!」



麗らかな陽が差す、春の穏やかな日。

そんな暖かなものと一見うらはらに見える"嘘"

それが許されるという、少し不思議で特別な日に。


草花が風に撫でられ揺れる中、6人でしばらく笑いあっていた。


~ 『麗らかな陽とうらはらに』 Fin. ~ 
03:03  |  ハヤテのごとく!小説(SS)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

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